思考の生理学を読んで 外山滋比古著 ちくま文庫
最初の20ページを読んで難しい言葉が多くピンとこないなーと感じた。しかし読み進めているうちに「考える」ことを考えることがおもしろいと感じた。
この本ではインプットの方法、アイデアのつくり方、思考とは、、について記載されている。私がこの本を読んで頭に残ったことを記録していく。
思考は寝かせる
インプットしてすぐに活用するだけでなくメモなどをして寝かせることが有用である。
「見つめる鍋は沸かない」→他のことに意識を向けているとき、なんとなくぼんやりとしているときによいアイデアは浮かぶ。そのことだけに注目しているのは得策ではない。
アイデアが生まれやすい三上
馬上、枕上、厠上→現代でいう「通勤中」、「寝床についてから寝るまで、または起きた直後」、「トイレ」
この三上は先ほど記した他のこのことにぼんやりと意識を向けていることが共通点となっている。
→重要なことは三上で思いついたアイデアを忘れないように記録できるような環境を作っておくことである。
思考の整理について
1986年に発行された本書では知識を頭に詰め込むだけ(グライダー人間)ではコンピューターに仕事を奪われ、思考力をもつ人間(飛行機人間)になる必要があるとしている。
現代でもAIに仕事を奪われる話はあるが約40年前から同じような話があったのだと感心するとともに当時から自分で思考できる飛行機人間は増えていないのかと感じた。
思考のイメージとつくり方
知識を詰め込むだけのグライダー人間の頭は「倉庫」、知識を活用し思考できる飛行機人間の頭は「工場」のイメージ。知識を入れるために収納スペースを空ける思考の整理では頭がいっぱいになってしまい限界がある。知識を使うために作業スペースを広げ、思考する思考の整理が必要である。
上記した話につながるが他のことをしているときやアウトプット、睡眠中に思考は整理される(必要のない記憶を忘れる)。そのため起床時は作業スペースが大きくなり頭がすっきりして思考が進みやすい。
とにかく書き始めてみる
インプットをして頭の中で構想を練っているだけでなくとにかく書き始めることが重要である。この時に細かい言葉使いや文章構成はあとに回し、最後まで書ききる。書いている途中に思考が整理されていく。
最後まで書き終えたら推敲する。その際に新しいアイデアがあれば書き加えていく。そして声に出して読んでみる。突っかかるところがあれば問題が潜んでいると考え推敲を重ねる。それを繰り返すことで論文、作品、思考は完成する。
最後に
この本で思考について考え、とても有意義だと感じていたが私は論文を書くことはないため外山先生の方法をすべて真似することは、難しいと感じてもやもやとした気持ちだった。
あとがきで私たちはいつのまにか我流の考え方をもっており、この型をはっきりと自覚することが困難であるため他の人の型に触れることが有用である。この本は技術や方法を読者に提供するための意図はない。と記載されていてすっきりした気持ちでこの本を読み終えることができた。
方法をインプットしようとするのではなく他の人の思考の方法に触れる目的でもう一度この本を読みなおしてみようと思う。
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