仙腸関節とは
脊柱の根元に存在し上半身の体重を支える衝撃吸収装置のようなもの。滑膜関節と後上部の1/3の靭帯結合でできているため可動性はほとんどない。
仙腸関節痛の発生メカニズム
①関節内の病変(化膿性関節炎など) ②関節の機能障害(仙腸関節障害)
大部分は②の仙腸関節障害
→仙腸関節はわずかな可動域で大きな負荷に対応しているため外力や繰り返しの負荷で関節に不適合が生じて関節機能障害が起きやすい。
関節の不適合→後方靭帯の過緊張→靭帯内の知覚神経終末や侵害受容器が疼痛を受容する。重量物を持ったり外力で急性腰痛症の原因になりうる。(急性腰痛の割合はヘルニアや椎間板症より頻度が高いこともある)
病態に対する診断方法
- 仙腸関節裂隙の疼痛(PSIS付近)
- 鼠径部痛(脊柱管狭窄やヘルニアでは10%以下であるため仙腸関節痛の特徴)
- デルマトームに一致しない下肢症状
- 椅子座位でに疼痛、正座はOK (ヘルニアでも痛み出るけど疼痛部位が違う)
- Newton test,Gaenslen,FABERA test(開排制限が生じやすい),thigh thrust test
- 画像診断は難しい(若年者では仙腸関節の変形所見、関節面の変形→診断補助)
◎圧痛所見が重要。デルマトームに合わない疼痛、鼠径部痛はよく聞かれる所見なのでone finger testとかで簡易的に評価して陽性であれば仙腸関節痛を疑う。